藤城清治展へ
8月 17th, 2009~光と影の世界展~
京都文化博物館で開催中。 8月1~9日23日まで。
まず、一言で感想を言うと、とても良かった。
ご存知の片も多いと思うが、影絵作家で、1924年生まれだから、御歳85歳である。
たまたま昨日は、対象商品の購入者に対してのサイン会が開催されていて、ご本人を拝見することが出来た。
サインを頂くための列は、とても長かったために、断念したが。
4階と3階のスペースをフルに活用して、240点にものぼる大展覧会である。 サイン会の日曜であることもあろうが、とても盛況だった。
会場は、その作風もあり、ファンタジックながら、幻想的かつ煌びやかでもあった。
ご本人の説明では、アンデルセン童話から、多大な影響を受けたらしい。 その童話の中には、単なる子供用向けのファンタジーのみならず、「人間」の存在や意義などの訴えもあると。 (うろ覚えで、ご本人の正確な表現でないので、ご容赦を)
最近の評価では、影と色彩のコントラストによる、美しさが評価されていると思う。 そして、その題材のファンタジーと。
私もウキウキした足取りで帰るのかと思っていた。
しかし、そうではなかった。
その色彩の対極にある影に、寂しさのような感じが残ったのである。 それが、影絵の力なのだろうか。
上記のとおり、若き頃のアンデルセン童話の「人間」の部分には、影のと言うか、「明」だけではない「暗」と呼ぼうか、その部分が、どの作品にも、付きまとってくる印象を、拭い切れない。
確かに、個々の作品が捕らえている、その一瞬自体は、とても楽しい瞬間に見える。 色は鮮やかである。 例えテーマが深くても。
しかしその一瞬の構図や色彩の楽しさと対極に、全体の雰囲気は、寂しさのようなものを感じてしまうのである。
それが、先生がアンデルセン童話から受けた影響の故であるのか。 そう思うのは、私だけだろうか。
以前、NHKのみんなのうたの絵も、担当されてたと言う。 そう言えば、かすかながら、覚えている。
しかし、それを思い出すと、やはり当時の何か寂しいものが、今でも記憶に刻まれている気がする。
今回と同じ気持ちであったのかと気づく。
それは、なぜだとうか? 主人公の顔が、全て影で作られているからだろうか。 目の表現からだろうか?
いずれにしても、心に残る印象は、限りなく深い。
この京都での展覧会向けに、清水寺や金閣寺、東寺などの作品もあった。 地元の人間にとっては、とても嬉しい。 そんな心理を良くわかっていらっしゃると感じる。
それに、「2009年作」がとても多くある。
今は沢山のスタッフが、お手伝いされているのかなと、推測したりして。
おめしになっていたスーツを、真近で見たら、何ともオシャレで高級感たっぷりである。
ご高齢ながら、長い列に、コツコツとサインされていた。
その表情は、時には柔和であり、真剣である。 しかし、その目の奥は、近づき難い雰囲気すら感じる。
そんな様々なお姿は、何だか作品と一緒の雰囲気だなと、思ったりもして。